特定受給資格者認定で失業保険をすぐにもらう方法
自己都合退職の場合は失業給付(正確には雇用保険の基本給付と言いますが、本記事では直感的にわかりやすい失業給付という言葉を使います)は退職後約3ヶ月後にならないと受給できません。会社都合退職であれば、早ければ退職後7日後に受給できるのですが、自己都合退職の場合は3ヶ月待たなければいけません。また、家族の扶養に入ったり、パートで働き始めると受給資格を失います。
特定受給資格者認定
理由や背景は人それぞれだと思いますが、失業給付をすぐに受給したい人のために、自己都合退職でもすぐに失業給付を受給できる方法がいくつかあります。
「自分の意志で退職したけど、そもそも働き続けるのが困難だった」という人の受け口として、特定受給資格者というものがあります。ざっくり言うと、離職票には自己都合退職となっていても会社都合退職として認めてもらえる制度があります。特定受給資格者の範囲の詳細は厚生労働省のHPで紹介されていますが、この記事では時間外労働に関する基準について紹介します。
参考:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000147318.pdf
時間外労働の規定の時間を越えていたら「これは自分の意志で退職したと言えども、しょうがないよね」ということで特定受給資格者に認定されます。離職の直前6か月の間に以下の3つのどれかに該当すれば認定されます。
1、連続する3か月で時間外労働が45時間を超えた場合
2、1か月で時間外労働が100時間を超えた場合
3、連続する2か月~6ヶ月の期間の時間外労働が平均80時間を超えた場合
ただし、勤務管理簿など時間外労働をした証明ができるものを退職前に取得しておく必要があります。
時間外労働の時間の計算
時間外労働の何を以て”時間外”とするかについてですが、法定労働時間の1日8時間をベースとします。会社によっては就業規則で1日の労働時間が8時間未満とされている場合でも8時間をベースとして考えます。そのため、例えば1日の就業時間が7時間の会社の場合は、1日に8時間働き、会社の勤怠管理簿では1時間の残業(時間外労働)とされていても、時間外労働時間はゼロということになります。
時間外労働の計算は、会社ごとに定められた就業規則に対する時間外労働時間ではなく、1ヶ月の総労働時間に対して時間外労働時間がどれだけあったかを計算します。
また、有給休暇の扱いについてです。残業時間が50時間だけど、有給休暇を1日取得したようなケースでは、休んだ8時間を差し引いて時間外労働は42時間とするのでは?と思うかもしれませんが、休暇分を差し引く必要はありません。就業日数に対して1日8時間でベースの労働時間を計算します。
例えば、営業日が21日で有給休暇を1日取得した場合、20日×8時間=160時間がベースとなり、このベース時間に対して1ヶ月間の総労働時間がどれだけ超えたかで時間外労働時間を計算します。
会社ごとに定められた就業規則に対する時間外労働時間ではなく、1ヶ月の総労働時間に対して時間外労働時間がどれだけあったかを計算します。
就業規則で定められた1日の就業時間が8時間ではない会社は、月ごとの営業日の日数によって時間外労働の基準が変化するので注意が必要です。
例えば、就業規則で7時間30分を1日の就業時間と定められている場合、時間外労働45時間を超えるラインが会社の”残業時間”では以下の通りに変化します。
就業日数 | ベース時間 | 就業時間7.5時間の場合 | |
45時間超過ライン | ベース時間 | 残業時間 | |
18日 | 144時間 | 135時間 | 54時間 |
189時間 | |||
19日 | 152時間 | 142.5時間 | 54.5時間 |
197時間 | |||
20日 | 160時間 | 150時間 | 55時間 |
205時間 | |||
21日 | 168時間 | 157.5時間 | 55.5時間 |
213時間 | |||
22日 | 176時間 | 165時間 | 56時間 |
221時間 |
最近では、テレワークの推奨でオフィス以外で働く機会も徐々に増え始め、勤怠管理が曖昧になっている場合もあります。実際には自宅で就業していたのに、会社のタイムカードの記録にはないので業務時間として証明できるものがなかったりするケースもありますので、メールでテレワーク勤務の開始と終了を上司に報告するなどの方法で就業時間の証跡が残るようにしておくと良いかもしれません。