育休のお金についてざっくりと紹介

私は2019年2月~2019年3月まで男性の育児休暇を取得しました。会社からの給料はなくなりますが、雇用保険から育児休業給付金がどの程度で、実際に育休を取得した場合にお金に困らないかどうかが心配でした。調べ始めて困ったことが制度の複雑さです。いろいろなケースに対応できるように制度がきめ細かくなっているのは良いのですが、ざっくりとお金の観点で育休を取って大丈夫なのかどうかを知りたい人にとってわかりやすい記事がありませんでした。厳密さには欠くかもしれませんが、ざっくりと金額とキャッシュフローをつかめるように説明します。

出産でもらえるお金

出産で受けられる給付は健康保険から支給される出産育児一時金です。出産する本人(妻)が被保険者として健康保険に加入している場合は、妻のほうの健康保険から支給されます。一方、妻が専業主婦などの場合で、夫の被扶養者の場合は夫が加入する健康保険から支給されます。共働きの場合に、夫、妻の両方の健康保険から二重に支給を受けることはできません。
支給額は基本的には42万円ですが、健康保険によっては付加給付と言って、42万円にさらに上乗せされた額が支給される場合もあります。また、双子の場合は2倍の支給を受けることができます。
二重に支給を受けることはできないと説明しましたが、双子だと2倍という点からも1人の子どもに対して1口の支給があると考えるとわかりやすいかもしれません。

出産育児一時金に限らず健康保険の給付は、基本的には費用がかかったあとに申請をして後払いで給付されるのですが、出産育児一時金には直接支払制度というものがあり、この制度を利用すると、保険者(健康保険組合など)から病院に対して出産育児一時金を直接支払うため、病院を退院するときの支払いは、出産育児一時金の支給額を差し引いた差額だけを支払えば良いことになります。

例えば、出産費用とその後の入院費用で50万円かかり、出産育児一時金の支給額が42万円であった場合は、差額の8万円を病院に支払えばよいことになります。直接支払制度を利用するには事前の申請が必要なので、出産をする病院や加入する健康保険に事前に問合せて手続きを済ませておく必要があります。

男性の育休取得でもらえるお金

男性が育児休暇を取得する場合にもらえる給付は雇用保険から支給される育児休業給付金です。通常の会社であれば、育児休業期間は仕事をしていないので無給となり、その代替として育児休業給付金を受給して生活費に充てることとなります。

支給額は、ざっくりと6ヶ月までは月給の67%、それ以降は50%で、最長1年間まで給付をうけることができます。ただし、上限があり、月額の給料(標準報酬月額)が45万円を超える場合は、月額給料が50万円でも100万円でも45万円とみなして計算します。この計算に賞与は入りません。

また、育児休業期間中は社会保険料(厚生年金、健康保険料、介護保険料)の支払いは免除されます。サラリーマンであれば給料から天引きされているので、普段は支払っている意識があまりないかもしれませんが、育児休業給付から社会保険料が天引きされることはありません。ただ、給料から天引きされている社会保険料は前月分のことであることが多いため、育児休業初月分の社会保険料は支払う必要があるケースもあります。最終的には、育児休業から復帰後の最初の月の給料で社会保険料が天引きされておらず(前月は育児休業期間に該当するため)、トータルの金額はプラスマイナスゼロなのですが、一時的にお金が出ていくことになる可能性があります。私の場合は会社に振り込みをしました。

また、住民税は育児休業の取得に関わらず支払いが必要です。住民税は前年の所得から計算した1年間の税金を月割にして支払っているだけなので、育児休業を取得したからといって、前年の所得額に対する住民税額が変わるわけではないので支払いが必要です。支払い方は会社によってまちまちですが、私の場合は、社会保険料と同じく会社に振り込みをしました。

育休時のざっくりキャッシュフロー

育児休業給付金は簡易計算サイトで計算できるのですが、注意したいのがその金額がいつ支給されるのかです。育児休業給付金は2ヶ月毎に支給され、支給までにはタイムラグがあります。例えば、1月~2月分の育児休業給付金の支給はだいたい3月中旬~下旬頃になります。

育休を取得する際に気をつけておきたいのは、出産前後~産後2ヶ月頃まで支出が多いのに対して、収入がないことです。例えば、1月下旬に出産、2~3月に育児休暇を取得する場合、大まかなお金の流れは以下の通りになります。

時期 内容 金額
1月上旬頃 育休取得前に給与天引きできない社会保険料や住民税を支払い (出費)
社会保険料×1ヶ月分
住民税×2ヶ月分
出産直後 出産費用と入院費用を退院時に支払い。出産育児一時金の直接支払いを利用。 (出費)
10万円から20万円
※実際は出産によりかなり幅がある
2月~3月 育児休業。この期間に育児休業給付の支払いはなし
4月 仕事復帰
4月中旬~下旬 育児休業給付の支払い (収入)
月額給料の67%
4月25日
※会社による
給料 (収入)
社会保険料の天引きがないのでいつもよりちょっと高めの手取り額

見ていただくとわかるとおり、2ヶ月程度の育児休暇の場合は、育休明けまで収入が途絶えることになります。また、産前産後で数万円~数十万円単位の出費があります。男性が育休を取り、世帯収入が途絶える場合は、給付される金額の合計額だけではなく、産前産後の出費と2~3ヶ月間の生活費をまかなう貯金があるかを考慮して判断する必要があります。