人生がときめく片づけの魔法|読書メモ

2018-02-28

人生がときめく片づけの魔法(著:近藤麻理恵) 2010年

モノが散らかっているのが元々嫌いなため、日常的にちょこちょこ片付けはしているのですが、どうも最近は片付けや整理整頓に追われてかなりの時間を費やしている感じがするので少し古い本ですがロングセラーなので読んでみました。小手先のテクニックではなく、片付けに対する原則がシンプルに書かれている良い本でした。

片付けを始める前に

そもそも片付けられない理由は詰まるところ2つだけで、”捨てられない”、”元の場所に戻せない”のどちらか、もしくは両方とのこと。私は捨てるのはあまり抵抗ないのですが、典型的な元の場所に戻せないタイプです。めんどくさいんですよね。。

そして片付けは短期間で一気に完璧にやってしまうのがコツとのこと。中途半端な片付けでは永遠とダラダラ続いてしまうから。これは正に今私がハマっている状態です。一度完璧に片付けてしまえば、その後の片付けは使ったものを定位置に戻すことと定期的なモノの入れ替えくらいで済むのですが、そのためには一度ガッと片付ける必要あり。

また、片付けに着手する前に「理想の暮らしを考える」ことが提案されていました。なんとなく部屋が雑然としていて気持ち悪いから片付けるんですが、”部屋をスッキリさせたい”くらいの曖昧な考えで明確なゴール設定をせずに片付けを始めるから終わったような終わってないような・・という片付けが半永久的に続いていたのだと気づきました。というわけで、私の理想の暮らしとは何かを考えてみました。

1、無駄なモノやコトにまみれていないシンプルな暮らし
2、興味のないことに追われずやりたいことだけゆるりとやるスマートな暮らし
3、興味はないけど避けられない暮らしのことは極力ルーチン化され頭と時間を使わず過ごせる暮らし
4、本当はさほど興味ないのに、見栄で無駄にやることを増やさない過不足ない暮らし

こんな感じです。キャパオーバーになると精神的にモヤモヤするタイプなので、モノの量も自分で把握できる範囲に留めたいです。
また、根本的にめんどくさがり屋でコツコツ系が嫌いなので
・体鍛えなくても体力があればいいのに
・ストレッチしなくても体がしなやかならいいのに
・英語の勉強をしなくても英語に不自由しなければいいのに
と妄想するわけですが、それと同じように「片付けしなくても片付いていればいいのに」と強く思います。
この本の書いている通り、短期間で一度ガツっと頑張って片付けをして整えれば、以後のキープはルーチン化可能なのではないかという点に魅力を感じた内容でした。

片付けの基本動作は捨ててから収納を考える

片付けの基本原則は捨てる、収納の2ステップだけ。今まで自覚していなかったシンプルだけど全くその通りで、しかも自分も簡単に実践できそうな点が良かったです。
その時の注意点は、捨てる作業を完全に完了してから収納に取り組むこと。捨てる段階では、むしろ収納のことは一切考えてはいけないくらいにまずは捨てることだけに専念するべきとのこと。そして、捨てる作業が完了してから残されたモノたちの収納(=定位置を決める)に取り掛かること。
これは例えば、服の処分→服の収納→本の処分→本の収納という順番ではなく、服の処分→本の処分→服の収納→本の収納というふうに作業を進めるべきとのこと。

捨てる作業、収納どちらにも共通することとして部屋・場所ごとではなくモノのカテゴリごとに作業をすることがポイントとのこと。同じカテゴリのものが複数の場所に収納されているケースがあるため。
また、捨てるときのポイントは捨てるものではなく、残すものを選ぶこと。モノの価値は大別して機能的価値、有用的価値、感情的価値、希少的価値の4つ。それにも当てはまらないものは処分します。

ただし大切なのは本当に価値があるかどうかの見極め。例えばほとんど着ていない服はまだ新品同様で機能的価値があるからストック・・となりがちですが、役割を終えたモノは価値がなくなっているのでを捨てると考えるべき。例えば、全然着ない服で言えば、その服の役割は自分の好みを教えてくれて「こういう服は買っても結局着ない」ということを学習できた時点で役割を終えたと考え処分すべきとの考え方が示されていてなるほどと思いました。
また、捨てられない人の原因は大別すると過去執着型、未来不安型の2つで自分がどちらに該当するかを見極めると捨てることが少しスムーズになる。過去執着型というのは損切りできないタイプ、未来不安型はいつか使うかもと考えてしまうタイプ。
モノの種類ごとの処分の仕方のハウツーは細々書いていましたが要するに上記の考え方ができていれば大丈夫です。本に関して言えば、殿堂入り級の本だけ残して、あとは残しておきたいエッセンスをコピーしてスクラップというテクニックが紹介されていましたが、著者本人もそのスクラップは結局見た試しがないので不要と書いていました。私もその通りと思うので、スクラップは作らずにブログにアウトプットすすることで頭にインプットを残す試みをしています。

収納に関しては精神論的なところが強いのですが、原則はすべてのモノの定位置を一つ残らず決めること。当たり前ですが、かなり骨の折れる作業です。。ただ、ここは根性の出しどころです。部屋が散らかる原因として、前述したように元の場所に戻せないことなので、収納のコツは使いやすさ(出しやすさ)よりも片付けやすさ重視で定位置や収納方法を決めることとのこと。これはなるほどです。
また、収納は人別→カテゴリ別で固めると良いとのこと。これを人別を無視して家族のものもまとめてカテゴリ別に定位置を決めようとするとうまくいかないそうです(感覚的にそうだろうなーという感じです)。
テクニック的な話ですが、落ち着く空間を作るには目に見えるところから文字情報を減らすことが重要。定位置を決める際は気をつけたいポイントです。

また、モノの適正量や定位置は自分で見極めることが大切。いろんなノウハウ本を開けば、シャツは○枚、アウターは○枚が適切・・みたいな最もらしい情報があるが、他人が勝手に作った基準が自分にも当てはまるかはわからないので、自分のキャパシティを知って適正量を見極めることが大事。

片付けで何がときめくのか

著書の中では「モノと話す」「モノをねぎらう」など若干スピリチュアルな感じの話があり、個人的にはよくわからないところもありましたが、モノ捨てる時はときめくかどうかという感情を大事にして判断し、捨てるとはモノを通じて自分と対話する作業であるという話がありました。

私もそうだったのですが、学生時代の試験前に部屋の片付けを無性にしたくなるのは、モヤモヤした気持ち(この場合は試験への不安)を晴らしたいが、その対象物を置き換えて(試験のモヤモヤから雑然とした部屋のモヤモヤ)に転嫁して逃避している心理であると紹介されていました。片付けをして部屋がスッキリすると、片付けという逃げ場がなくなり本来の問題にガチンコで取り組まなければいけないくなるため、その結果人生が変わる(=人生がときめく)という話です。たしかに、片付けへの逃避がなくなれば人生はさらに充実すると思います。

片付けとは関係ないですが、記憶にのこつたキーワードが「自分の判断に自信を持てない人は自分にも自信が持てない」というもの。仕事で大学で講演する機会があるのですが、不安に満ち溢れた学生たちからほぼ毎回受ける質問が「自分に自信がないのですが、どうすれば自信がつきますか」というもの。私もすべてが自信満々のわけではないですが、努力して積み上げてきたことについてはある程度自信を持っているので、その自分の経験から努力と成功体験と月並みなことしか言えず困っていました。というのも「自分に自信」ということを私自身噛み砕いて理解できていなかったからだと思うのですが、自信がないとは判断に自信を持てていないこと、という考え方は非常に明快で勉強になりました。