サラリーマンがお金持ちになれない4つの理由

サラリーマンはお金持ちになろうとしてもどうしても限界があります。感覚的にはみんなわかっていることですが、では、それはなぜなのかについて分析します。

縛りが多いサラリーマン

サラリーマンの最大の問題は様々な外部要因で縛りが多いことです。お金持ちになることと関係のない縛りもありますが、お金持ちになろうと思った時にダイレクトに足かせになってくる縛りが4つあります。

1、税制の縛り
2、給与体系の縛り
3、就業規則の縛り
4、転職市場の縛り

上記4つの縛りについて1つずつ考えていきます。
 

税制の縛り

サラリーマンがお金持ちになることを阻む1つ目は税制の縛りです。

サラリーマンの納税は源泉徴収で行われます。本来、税金は自分で納めるものですが、源泉徴収とは自分の手元に給料が来る前に会社が代わりに税金を収める制度のことです。つまり、本来であれば、①お金を稼ぐ→②手元にお金が入る→③稼いだ額に応じて税金を収めるという流れに対して、源泉徴収とは①お金を稼ぐ→②税金が引かれる→③手元にお金が入るという流れになります。

これは税金を徴収する国の立場からすれば、税金を確実に回収できる点で優れていますが、サラリーマン側にも複雑な税金の知識の習得や納税の事務手続きの手間から開放されるメリットがあります。一方で、手元にお金が来る前に税金が引かれているということは、自分で納税額をコントロールする余地がないということです。

いやいやサラリーマンにも確定申告があるじゃないか、という意見もありますが、サラリーマンの確定申告ではふるさと納税や医療費控除、住宅ローン減税の還付を申請できるくらいで抜本的な所得額はコントロールできません。
所得額をコントロールするとはどういうことかと言うと、例えば営業職で自分の給料で打合せの喫茶店の費用や得意先に持っていく手土産を買った場合、会社がそれを経費として認めてくれればいいですが、認めてくれない場合はいくら確定申告で税務署に主張しても経費扱いにはなりません。これが個人事業主であれば、事業に関係のある飲食代等は経費として計上できるため所得額が低くなります。

ところで、クロヨン(9:6:4)という言葉をご存知でしょうか。クロヨンとは、所得捕捉率の業種間格差の不公平感についての皮肉を言い表す言葉です。所得捕捉率とは所得をどれだけ正確に把握しているかを意味します。税務署も税金を徴収するには、まずは所得を把握しなければなりませんが、税務署は国民すべての所得を把握しているわけではなく、実際の所得を10とした場合に税務署が把握している所得の割合を言い表したのがクロヨンという言葉です。

・サラリーマンの給与所得は9割把握
・自営業者の事業所得は6割把握
・農業、水産業、林業の事業所得は4割把握

サラリーマンと違い、自営業者は自分で所得の計算をして納税するため、税務署が実際の所得を全て把握することは困難です。例えば、先ほどの例の打合せの飲食費用にしても、ファミレスで顧客と会い仕事の打合せをしつつ、ついでにランチも済ませたという場合、半分は仕事ですがランチはプライベートな支出ではないか、とグレーなところですがそれが経費計上されたとしてもすべてを税務署が把握することは難しいです。
サラリーマンでもランチミーティングというのがありますが、自営業者はそれを自由自在にできるということです。

”税金対策”という言葉はよく耳にすると思いますが、サラリーマンが税金対策をするのはほぼ不可能です。唯一サラリーマンに許された税金対策方法は投資用の不動産を所有することですが、不動産を所有するにも年収や勤務する会社の規模、年齢、勤続年数などの条件が揃わないといけないため誰でもできるわけではありません。

これがサラリーマンがお金持ちになれない4つの縛りのうちの1つである税制の縛りです。

給与体系の縛り

サラリーマンがお金持ちになることを阻む2つ目は給与体系の縛りです。

たいていの会社では、勤続年数や年齢、成果などに応じてシステマチックに給与が決まるように給与テーブルが存在します。どんなに飛び抜けた成果をあげても、その成果に対応するような給与体系が給与テーブルで定められていなければ成果が給与に反映されることはありません。特に日本は年功序列の文化が色濃く残っているため、若くして大きな成果をあげてもそれが給与に反映されることは少ないです。

しかし、給与テーブルの制度が悪いというわけではなく、給与テーブルが定義された会社はむしろ健全な会社と思うべきです。社長の鶴の一声で給料が上がったり、下がったりしてはライフプランの見通しがつかなくなってしまいます。住宅購入の際に35年もの途方もなく長い年月のローンが組めるのもこの給与テーブルによって収入の見通しが立っているためです。

一方で、一部の投資銀行や外資系コンサルファームを除いて給与テーブルはどの会社も似たり寄ったりです。東洋経済新聞社が発表する年収ランキングや四季報を見るとたしかに低い会社と高い会社で2~3倍の開きはありますがその程度です。

どの会社に入っても、サラリーマンである限りは飛び抜けた給与を稼ぐことは難しい状況です。

就業規則の縛り

サラリーマンがお金持ちになることを阻む3つ目は就業規則の縛りです。

就業規則の縛りと聞くと真っ先に思いつくのは副業禁止規定だと思います。最近では、会社によっては副業について柔軟な規則を設ける会社も出てきていますが、大半は副業禁止だと思います。収入を増やそうにも副業禁止規定の縛りで収入源はサラリーマンの一本足打法ですが、前述の通りサラリーマンの給与が劇的に上がることはあまり望めません。

また、副業禁止の他にも就業時間の縛りもあります。フレックスや裁量労働などの働き方が許される企業も多いと思いますが、実際には取引先や関係者が働く時間に合わせて働くことが推奨され月曜~金曜の日中に働くことに縛られているサラリーマンがほとんどだと思います。就業時間の縛りは収入よりも支出に影響を与えます。
世の中の多くの人と行動パターンが同じということは何かとお金がかかります。例えば、多くの人が仕事休みの土日はスーパーはとても混雑しますので、スーパーにとっては書き入れ時です。一方で、火曜、木曜あたりはお客さんが少ないため、お客さんを呼び込むためにセールをやります。イオンの火曜市なんかがいい例です。

また道路も土日はどこも混雑しているので、例えば平日であれば下道でも行けるような場所でも、土日は渋滞で道が混むので高速道路を利用して高速道路料金がかかったりと何かと出費がかさみます。1ヶ月に働く時間は同じでも、働く時間帯をずらすだけで色々と節約しながら過ごすことが出来るのですがサラリーマンはその裁量が乏しいです。

転職市場の縛り

近年はリクルートが転職市場のプラットフォームを構築したおかげで転職情報に簡単にアクセスできるようになり、転職のハードルも随分と下がりました。
しかし、今の日本では一般に転職すればするほど生涯年収が下がります。転職先の給与は前職の年収をベースにしますので劇的なアップは望めません。目先の給料は少し上がることもあるかもしれませんが、年金まで考えると転職すればするほどお金持ちからは遠ざかります。

転職エージェントは転職を成功させると転職先の企業から転職者の年収の30%~50%程度を成功報酬として受け取ります。これがリクルートなどの転職仲介業者の収入源です。つまり転職後の年収が500万円だとすると150万円程度の金額が転職先の会社から転職仲介業者に支払われます。転職にはこういうコストがかかるため転職者の給与の大幅アップは難しいという事情があります。

また転職のメリットはやりたい仕事にピンポイントで就けることです。日本の企業では柔軟に希望の部署に異動することが難しいため、社内異動するよりも社外転職したほうがやりたい仕事に就けることが多いです。転職エージェントもお金よりもやりがいを求めて転職することを推してくるので、大幅な待遇改善を求めても難しいことが多いです。

以上がサラリーマンがお金持ちになれない4つの縛りです。しかし、病める時も富める時も安定しているのがサラリーマンの良いところです。人生で何を優先して求めるかに応じてサラリーマンの道を選ぶかそれ以外の道を選ぶかを決めると良いと思います。