いずれ訪れる未来の到来を加速させる

2018-01-31

   
今世紀最高の経営者と言われるイーロン・マスクのTED。プレゼンというよりは対談の形式です。

The future we’re building — and boring – Elon Musk (2017/5/3)

一番の凄さはシンプルさ

まず、すごいと感じた部分は これだけ偉大な起業家であり先進的な取り組みをしている人にも関わらず、そのビジョンは素人にも非常にわかりやすく明快にシンプルに描かれていた点である。
予測不可能な未来に対して、小難しい専門用語を並べて難解に未来予想を語りそれらしく見せることは簡単であるが、誰もが「なるほど」と納得するような未来予想図をシンプルな言葉で表現するのは非常に難しい。卓越して鋭い洞察力あってこそど真ん中を突けるのだと感じた。

2つのビジネスの方向性

ビジネスの方向性として大きく2つを掲げていた。1つは、いずれ来るであろう未来への移行を加速させること。化石燃料は有限なのでそれが遠い未来だったとしても遅かれ早かれ枯渇する。そのため太陽エネルギーに切り替わるのは必然。であれば、太陽エネルギーの発電効率を高め発電をすべて太陽光で賄う未来はやがて来るという考えのもと、太陽光発電の事業に取り組んでいる。電気自動車もその大きな流れの中の一環であることもわかる。
もう1つの視点は、待っているだけでは決して訪れない少しぶっ飛んだ未来をクリエイトすること。これは宇宙事業のことで、これがないと面白さがないと語っていた。小説「下町ロケット」でも似たようなことを語っていたシーンがありとても納得した記憶がある。それは、「仕事は2階建ての家のようなものであり、1階部分は飯を食うための仕事であり、2階部分は夢を追うための仕事」という考え方である。
ライフワークを見つけて没頭することが人生を楽しむ上で最も重要であると同時に、やはりライスワークの部分も現実として必要であるがライスワークだけでは仕事はつまらないという考え方である。私は年に数回、国立大学で社会人講師として講義をすることがあるのだが、何のために働くのかという説明でよくこの下町ロケットの一説を引用させてもらっている。今回、イーロン・マスクも同様のことを語っているので、やはりこれが仕事の本質なのだと思う。